「スーパーエンジニア」のための特別な評価制度?

最近ではあまり聞かなくなったが、ほんの数年前まで、ソフトウェアエンジニア採用に注力している企業から、Googleにいるようなエンジニアを採用したい、との相談を受けることが多くあった。

当時多くの日本企業が、自社の給与テーブルに照らし合わせて彼らにオファーをすると、彼らの給料は半分以下になってしまう。しかしながら、いちエンジニアを採用するのに2000万円、3000万円以上のオファーをした経験のある企業は稀であり、自社のもっとも技術的な社員を超える能力を持つと期待される候補者を、どのような根拠から既存の給与テーブルを無視した高額なオファーの妥当性を担保しうるか、各社の人事担当者や、部門の権限者を悩ませた。

シリコンバレーを代表するUS系のトップIT企業には「スーパーエンジニア」が集まる。GAFAのような企業が、如何にして彼らを雇用し、評価する、そして組織として上手に回しているのか、そこには日本のIT企業が知らない特別な仕組みがあるのでは、との期待があった。この仕組を知り、自社に適応することで、ハイレベルなエンジニアが数々と集まり、テクノロジードリブンで新しい事業が次々と打ち立てられていく、そのためには、如何にしてGoogleにいるようなエンジニアを雇用できる企業へと、組織は準備を進めていかなくてはならないのであろうか。

Pole&Lineでは、サンフランシスコやシアトルにヘッドクォーターを置く主要なIT企業にて、エンジニアリングVP経験者を対象に、エクスパティインタビューを複数回に渡り実施した。その結果分かったことは、「スーパーエンジニア」達を評価する仕組みとは、知ってしまえば、特別なものでは決してなく、どの国のどの会社でも運用できるであろう、とてもシンプルなモデルであった。

以下、社名が特定されないように、ワーディングを若干変えるが、評価軸の例を紹介しよう。

XXX社
·Sphere of Influence
·Responsibilities
·Complexity of Work
·Knowledge and Skills
·Leadership/Interpersonal Skills

これらの各項目に、等級(US系企業ではLevelと呼ぶことが多い)毎の定義がされているが、それは抽象的で、かつ一般的なものである。試しに、XXX社のSphere of Influenceの一部を見てみよう。

Level1 :  
-Focuses on and owns codebase for projects or small systems or subsystems within team’s responsibility.
-Works on small to medium sized projects.

Level2 :  
-Focuses on and owns codebase for entire group or major pieces of a system.
-May serve as technical lead on small to midsize complex projects.

Level3 :
-Focuses on critical systems serving major part of the business and interactivity between team’s systems and other systems.
-Has purview over multiple systems and works on and owns codebase for projects spanning multiple groups.

Level4 :
-Has technical domain or deep expertise of a technology and/or its application within the division, regardless of use (example: storage techniques, cloud computing patterns, machine learning, etc.).

Level5 :  
-Has organization-wide domain expertise and focus. May be involved in company-wide efforts.
-Has strategic technical oversight over ecosystems (multiple systems) serving business critical functions for the organization.
-Likely makes recommendations to senior leaders in terms of technical direction.

上記を一読すれば分かるように、Levelがあがるごとに、範囲が広くなり、震度が深くなる、これがSkillやビジネスインパクトなどそれぞれの項目も同じように規定されていく。なんだ、たったそれだけの話しか、との印象を持った人が多いことだろう。つまりは「スーパーエンジニア」と呼ばれるタレント達を評価し、運用されている制度とはなんら特別なものではなく、どうやら別のところにIT企業が上手くいく秘訣がありそうだ。

Pole&Lineではグローバルやエンジニアリング領域に限らず、採用や人事制度についてのエクスパティインタビューによるリサーチや制度の提案を行っている。上記の他の項目の詳細について興味のある方は是非お問い合せ頂きたい。

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