CFO採用について

12/02/2020

ここ数年、上場を目指すベンチャー企業とお話をする中で、特にCFO(Chief Financial Officer)ポジションの採用は数あるポジションの中でも、最も採用難易度が高いと感じることが多い。 特に、スタートアップとの接点の多い弊社では、将来的な上場を見据え、外部から優秀なCFO人材を採用したい、と依頼を受けることがしばしばある。 スタートアップ界隈では、Twitter等のSNS上で、上場を果たしたCFOのインタビュー記事が拡散されることも多く、「外部登用した優秀なCFOは、企業を上場に導いた上場請負人」といった印象を持つ人も多いのかもしれない。 実際のところ、採用現場でもよく話題に挙がる「優秀なCFO=”本当に採用したいCFO”」とはどのような経験を持った人材なのだろうか。 例えば弊社がいただくCFOサーチのご相談内容は、ほぼ100%、下記の2つの要件を満たしている方を探してほしい、という依頼だ。 <”採用したいCFO”の要件> ・過去に上場へと導いた経験のあるCFO・在籍社員の平均年齢を鑑みて、近しい範囲の年齢であること(30代)
もちろんこの他にもあるが、各社共通するのはこの2点だろう。実はこの要件が、採用の難易度を数段引き上げてしまっている。 
下のグラフを見て欲しい。 これは上場済み企業の目論見書を元に、「過去に上場を導いたCFO」が転職先で再度上場を果たしたケースを表したものである。

実はこのようなケースはわずか5.2%程度しかない。さらに年齢を39歳以下で絞ると、

全体で0.9%。232名中、たった2名しか存在しない。
つまり、人材要件と実際のターゲット人材との間に大きなギャップが生じているのだ。これでは終わりのない「ユニコーン探し」となるのは明白で、資金と時間が限られるスタートアップにおいては、絶対に避けなければならない。
実際の上場企業ではどのような人材がCFOを務め、上場に導いたのか。 同じくデータを元に紐解いていこう。 まずはどのような業界から転職してきた人材が活躍したのか。 下記は上場経験を持つCFOの経歴を元にPole&Lineが独自にまとめたものだ。

こちらを見てもらうと、やはり同業種からの登用が最も多い。続いて金融機関出身者や監査法人出身者といった専門性の高い人材を登用している。
では、同業界から招いた人材は上場を導くCFOになる前に、どのようなポジションで活躍していたのか。下記がそのデータとなる。

約6割が前職では財務経理の部長ポジションを経験し、転職によるステップアップでCFOとして活躍している。その他の約4割には、それぞれ5%前後で代表取締役や創業メンバーがそのままCFO業務を担うケースや、営業部長や事業責任者がCFO業務を担うケースなどが存在している。
財務経理畑で活躍した人材がその後CFOとなるケースについては、「それはそうだろう」と感じる人が大半かもしれないが、データで見るとより実態も見えてくる。
ここで、財務経理の部長ポジションを経験した約6割のグループについてもう少し深堀りしてみる。このグループは、過去に上場経験を持たない上場企業の現CFOだが、「上場企業における財務経理に関わった経験があるか」、についてはどうだろうか。 おそらく多くの採用担当者は、企業を上場させた経験はなくても、上場企業での財務経理の経験は持っていて欲しい、と感じるはずだ。
実態はどうか。こちらのグラフを見て欲しい。

なんと前職が未上場企業だったというケースが63.7%と半数以上を占める。 この結果を意外に感じる人も多いのではないだろうか。 
ここまでデータで示してきたことをまとめると、 「上場企業での就業経験は必須ではなく、その他の部分(例えば、業務遂行能力やコミュニケーション力といった部分)が重要であり、候補者対象を広げて採用を進めていくことが可能であり、現実的である」ということをわかっていただけたのではないだろうか。
今後はさらに深堀りを行い、上場経験以外のスキルや人物面について紐解いていきたい。