年収だけにつられるのはご用心!

05/08/2019

色々な理由から「年収を上げたい!」と考える人は多い。実際、そういったご相談をいただくことはとても多い。
「自分の実力、実績から、もっともらってもいいと考えている」、「二人目が産まれるので、貯蓄を増やす必要があるため、今より高い年収が得られる企業に転職したい」、「大学の同期が転職して年収が上がった、と言っていた。それなら私も転職すれば年収が上がるのではないかと思う」などなど。

あなたの年収は、果たして適切だろうか。
適切な年収とは、どのように決まるのだろうか。

以前担当していたクライアントの中で明らかに年収が高い企業があった。
同じような業務内容のポジションでも、同業他社と比較して200万円くらい高かった。
考えてみてほしい。あなたがもし今年収800万円だとして、今と同じような業務をして年収1000万円になるとしたら、魅力的に感じないだろうか?
同社は、同社が所属する業界の中では、中堅より少し上くらいで、ひいき目に見ても上位に位置する企業ではなかった。
それなのになぜ、競合他社よりも200万円も高い年収を提示することが可能だったのか。ビジネスモデルが他社よりも優れていて、利益率が著しく高いのだろうか。残念ながら決してそんなことはなかった。

年収が高い企業にはいくつかの特徴がある。
・外資系企業で、日本の年収体系もある程度本社の年収体系に合わせていて、日本の一般的な年収水準よりも高い
・業界のリーディングカンパニーで、唯一無二のプロダクトやサービスを持っており、市場におけるシェアがとても高い。
・業績が好調で、利益を社員に還元する仕組みができている。
・利益率が高い業界である(=年収が高い傾向がある業界である)
・残業時間が非常に長いため、結果的に年収が高くなる。
・年収が高い一部のエース社員が年収レンジを引き上げている。特に営業職など、売上に対するインセンティブボーナスが高い場合。
・離職率が高く、高い年収を払わないと人材の採用ができない。

件の企業は、当時1000人規模の企業だったが、毎年のように年間200人ほどの中途採用を行なっていた。しかしながら、3年間で従業員数は200名程度しか増えていなかった。そう、この企業は離職率が非常に高く、600名採用したが、その3年間で既存社員を含めて400人程度が退職したのだった。採用チームのマネージャーの方は本当に大変そうだった。お風呂の栓を閉じないでお湯をはっているような状態で従業員が全く定着しなかった。そのため、高い年収を提示しなければ、採用ができない状況だったのだ。
採用チームのマネージャーも、ほどなく転職した。

年収には、金額の根拠となる原因が必ず存在する。40代、50代で年収が高い従業員が大勢いるため若手の年収が階段状に低く設定されている場合もあるし、20代でも数千万円〜数億円の年収を稼ぐような人がいる業界も存在する。

当然、実力がある人材や実績がある人材に対しては、現年収よりも高い年収が提示される可能性は高くなるが、年収は企業ごとに細かい規定があるため、「転職して数百万円アップ!」というようなケースは実は極めて稀だ。もしあなたが、応募している企業のエース社員とヨーイドンで勝負して、1年以内にエース社員を大幅に引き離して勝つことができるような実力があり、その実力を存分に発揮することができたり、新規事業の企画を持ち込んで数十億円の事業創出ができるような実力があれば、当然ながら年収はアップするだろうが、このような事例であっても、年収は基本的には入社してから実績を証明した後で初めて上がる。ポテンシャルを感じて先に高い年収が支払われる機械学習エンジニアやデータサイエンティストのような比較的新しい分野の仕事や、シリコンバレーでも通用するようなスーパーエンジニア以外では、転職した際に年収が数百万円アップするケースはほとんどない、と思った方がいい。

では、年収を基準にして仕事を選ぶことは間違っているのだろうか?年収だけを見て会社を選ぶのはとてもリスクが高い。年収は、これまでの経験やスキルに応じた金額が提示される。もしあなたの経験やスキルが今のままであれば、そのスキルに1.5倍や2倍、はたまた数百万円も高い値付けをする企業があったとすれば、その裏に何があるのか、考えてみた方がいい。そして、金銭以外で何が重要か、何を重要に感じるか、その仕事をするとその後どういう将来につながるのかについて考えてみた上で、これらを基準にしたほうが仕事の満足度、人生の満足度は高い。得意な仕事の方が、成果が出しやすい。かといってコンフォートゾーンの仕事ばかりをしていても経験やスキルは伸びない。しかし、年収アップを目指すのであれば、能力を育てる他に方法はない。

私は不釣り合いな年収アップをする状態を「瞬間最大風速が吹いている状態」という表現をよく用いるのだが、こと年収に関しては、瞬間最大風速を吹かせてもなんの意味もない。

あなたは年収アップの罠にはまっていないだろうか。

Written by Yusuke Furuichi

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