転職を迷うこと(迷うだけ)の愚

現代の働く日本人にとっても転職は普通の光景になってきた。意思を持ち転職をする人々もいるなかで転職自体について無駄に悩む人々も多い。

まず多いのが転職について何も調べずに、転職するかどうかを迷っている人々である。何もせずに迷うくらいだったら迷う時間が無駄だと思う。今の仕事になんとなく不満や不安があるけど、転職も怖い症候群に陥っていて、友人とお酒を飲みながら”仮想”転職について思いを馳せる。

次に、転職活動を始めたりしたら同僚とか上司にばれるかもしれないからという人々である。毎日のように希望退職の記事が出るような時代において、社内の人ばかりに気を使っていて、気づいた時に事業売却・縮小になったらどうするのだろうか?確かに転職活動がばれた場合には上司から質問されるかもしれない。ただ、あなたが有能で貴重な人材であれば、引き止め工作に合う、もしくは仕事の不満を解消してもらうチャンスになるかもしれない。上司も優秀な人であれば部下が転職活動の情報収集をしているくらいで咎める可能性は低いと思われる。廃業や事業縮小になった場合、会社や上司は基本何もできない(もちろんできると言うが)。その時に急に「外にも大きな可能性があるから探してみるのがあなたの為になる」と言われた日には目も当てられない。

実際に転職活動をしてみると分かることなのだが、自分が明日にでも転職したいという仕事にはそうそう出会えない。探し始めてすぐに見つかる場合は、相当の幸運か、隣の家の芝が青く見えてなんでも良く見えてしまうか、のどちらかだろう。実際は探し始めてから数ヶ月くらいかかるものである。

転職活動自体をしてみることには幾つものメリットがある。そもそも世の中にどのような会社と仕事があるかは転職活動をしてみて初めて分かる。多くの人々は新卒で入った会社もしくは友人の会社くらいしか世の中の企業・仕事について深くは知らない。世の中には実に多くの仕事がある。また転職活動をすると自分の相対的な立ち位置、スキルレベルが見えてくる。そして自分の市場価値も。世の中で求められるスキルと自分のスキルにギャップが発生しているのであれば明日からでもそのスキル強化をすべきである。すくなくともギャップがあることを理解することが第一歩である。自分の市場価値がわかれば、今の会社での価値が市場価値よりも高ければあなたは将来その会社から抜け出すことが難しくなるだろうことが予測できる。あなたを今の会社より高く評価する会社は市場にないから。今の会社に不当に低く価値を評価されているのであれば真剣に転職を考えるだけである。

転職活動を通して見えてくるのは仕事上の話だけではない。転職という人生の大きな転機を考えるときには当然自分の人生、生活、家族などについても考える。あなたの人生における優先順位は何か?どのようなトレードオフが存在するか?仕事のスキル、お金だけでなく、人生の優先順位の棚卸しもできる貴重な機会である。

終身雇用という幻想は崩れ始めている。言うまでもなく早期退職は多くの企業で実施される当たり前の事になりつつある。だが終身雇用の名残はある。社内でスキルを磨く、昇進することだけ考えていては自分の望むキャリアを実現することは非常に難しい。たとえあなたがどんなに優秀でも。実際に転職するかどうかは市場環境、希望する仕事があるかどうかに左右されるのは事実である。ただ、転職を迷うこと、迷うだけは時間の無駄である。迷うのであれば行動すべきだろう。

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