Case Study 認知症という社会課題にテクノロジーで挑む、大手グループ戦略子会社の中核人材の採用を支援

テオリア・テクノロジーズ株式会社
認知症に対する備えから発症後のケア、ご家族・医療関係者の支援までを包括してサポートするプラットフォーム事業を展開している。

代表取締役CEO
坂田 耕平様
マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパンにて、消費財・小売・ヘルスケア・マーケティング研究グループのリーダーとして、様々な国内外のプロジェクトに従事。2013年にバイエル クロップサイエンスに入社後、ベトナム法人の代表、日本および韓国の事業責任者などを歴任する。2024年7月にテオリア・テクノロジーズのCOOに就任し、2025年より現職。
執行役員CTO/事業統括責任者
岩田 和宏様
画像処理系の研究開発、医療用の3D画像診断アプリの開発、スマートフォンやWeb開発などを幅広く経験してキャリアを築く。ストリートアカデミー、JapanTaxi(現GO)、IRIS、パイオニア等の企業においてCTOを歴任。2024年よりテオリア・テクノロジーズに創設メンバーとして参加し、CTOに就任する。
製薬大手エーザイのグループ企業として、2023年に設立されたテオリア・テクノロジーズ株式会社。同社は「認知症との向き合い方を、テクノロジーで変えていく。」をミッションとし、エーザイグループが保有する知見と研究データを活用した、認知症プラットフォームの構築に挑んでいます。
Pole&Lineは、テオリア・テクノロジーズが組織の立ち上げ段階にある2024年より、人材採用を支援しています。当社のご紹介を通じて、セールス責任者やデータサイエンティストなど、ビジネスとエンジニアリングの両面における中核人材を採用いただきました。
一般的に広く知られてはいないものの魅力的な事業やカルチャーを持つ企業、または有名企業の知られざる一面を深掘りして、優秀な人材に届ける。担当エージェント個人が心から助けになりたいと思える企業を支援する。こうしたPole&Lineが人材紹介において重視している考え方に、まさに合致しているのがテオリア・テクノロジーズです。
テオリア・テクノロジーズが描くビジョンと人材戦略、それに対してPole&Lineは採用を支援する中で何を考えているのか。代表取締役 CEOの坂田様と執行役員 CTOの岩田様に、担当エージェント2名がお話を伺いました。
ヘルステック領域における独自のポジショニング
-(Pole&Line 杉林):私はヘルスケア×テクノロジー領域の採用支援に注力しているのですが、数多くあるヘルステック企業の中でも、テオリア・テクノロジーズ様は独特の立ち位置に感じています。その点について、御社はどのように捉えられていますか?
坂田様:
「ヘルステック」というと何かトレンドのように聞こえますが、私たちが取り組んでいる「認知症」というテーマは、そうした流行りに乗った一過性のものではない、というのが大きな違いかもしれません。はるか昔から人間が向き合ってきた、普遍的な課題です。
エーザイが40年以上にわたって積み上げてきたデータや知見があり、「大学時代からずっとアルツハイマーの研究をしているんです」というような創薬の研究者と議論しながら、強い想いを持って事業に打ち込めるのは、テオリア・テクノロジーズならではの良さなのではないかと思いますね。
岩田様:
認知症の当事者は予備軍も含めると、日本国内に1000万人規模で存在しています。ご家族や身の回りの方、さらに対象を世界に広げれば、その何倍も認知症に関わっている人がいるわけです。一方で、認知症の予防も治療も、まだまだ未開の領域が残されています。課題の切り口によって、いくらでもやれることが出てくる。ある意味では、ブルーオーシャンとも言えます。
坂田様:
もうアイディアが出尽くした中で、なんとか他社と差別化して少しずつシェアを奪い合うような世界では、全くないんです。テオリア・テクノロジーズは、何十年も誰にも解けなかった問題に挑んでいます。ブレークスルーを起こすことができれば、それがグローバルスタンダードになっていく可能性もあると考えています。

-(Pole&Line 杉林)優秀な候補者の方と話すと、やはりみなさん革新的なサービスに関われる、ワクワクするチャレンジを求めているんですよね。一方で市場が成長するにつれて、これまで全く聞いたことのないような目新しいサービスは少なくなってきているように感じます。その点、テオリア・テクノロジーズ様について候補者の方にお伝えすると、独自の立ち位置や目指している世界観、ユニークな事業に「そんな会社があるんですか、面白いですね」と興味をお持ちいただけることが多いです。
坂田様:
なるほど、それはありがたい話です。たしかにヘルステックの中でもそうですし、一般的なスマホアプリやSaaSなどのデジタルプロダクトと比較しても、UXの考え方に大きな違いがあります。我々のサービスの主なユーザーは認知症の方で、そうでない方も多くはご高齢ですから、テクノロジーをそう簡単に使いこなせないんですよ。
だから、他のサービスと比べてUXの設計を相当工夫しなければならない。「認知症の当事者の方ではなく、介護者の方をユーザーとして捉えたほうが当事者への支援の質があがるのではないか?」といったように、広義のサービスデザインについて考える機会も多いです。
岩田様:
「本当にスマホアプリでいいの?」という話は、社内でもしていますね。たとえば、何らかのIoTデバイスを開発するとか、デジタルやソフトウェアにこだわらず、ハードウェアやリアルな体験まで含めて考えていけるのも、面白いところですよ。
-(Pole&Line 佐藤)テオリア・テクノロジーズ様が、そこまで広く事業を考えていけるのは、エーザイグループという基盤の価値も大きいのでしょうか?
坂田様:
創業から数年でマルチドメイン・マルチプロダクトの事業を展開して、しかもグローバルまで目指す。これができるのは、やはりエーザイグループとしての資本力があるからでしょうね。エーザイの執行役からは「テオリア・テクノロジーズは国家事業を肩代わりしているようなつもりでサービスを作ってくれ」と、それぐらいのことを言ってもらえているので、我々も大船に乗った気持ちでチャレンジできています。
坂田様:
エーザイグループが長年積み上げた研究データを活用できるのも大きいです。私たちにとって、エーザイの研究データは宝の山なんですよ。このデータを上手くつなげられたら、構築できるモデルの精度がレベルの違うものになる。普通のスタートアップでは、そこまでできないと思います。
-(Pole&Line 杉林)一般的に大手企業のグループ会社というと、「親会社の方針に沿って動く実行部隊」のようなイメージを持たれがちですが、御社の場合は全く異なりますよね。前述のようなエーザイグループの基盤を最大限活用しながらも、認知症プラットフォームの構築においてはテオリア・テクノロジーズが主体となって事業をリードされていますし、カルチャーや働き方の観点でも独自の環境が形成されているように思います。
坂田様:
そうですね。エーザイの経営陣も、自分たちの創薬事業とテオリア・テクノロジーズのプラットフォーム事業は別の領域で、どちらかにバランスが傾きすぎると両方が成り立たなくなる、ということをよく理解してくれているのは助かっています。
いわゆるエンタープライズ企業の出身で、「なかなか自由に動けなかった」「そもそもエンジニアという職種がなかった」というような会社から、弊社に転職してきた社員もいますが、テオリア・テクノロジーズの社内にはエンジニアの行動特性を理解している経営者がいて、ベンチャーらしい組織文化があります。
一方で、先ほど話したような大手グループとしての資本力に加えて、事業開発をするにしても「エーザイグループです」と名乗れば、認知症領域ではどこでも話を聞いてくれるだけの信頼と実績がある。このようにベンチャーの機動力と大手の安定感を両立できているのは、大きな魅力なのではないかと思います。

偶発的な化学変化が生まれる組織を目指していく
-(Pole&Line 佐藤)テオリア・テクノロジーズ様が今後どのような方を採用していきたいか、改めて前提となっている人材戦略の考え方からお伺いしてもよいですか?
坂田様:
「コーゼーション」と「エフェクチュエーション」という理論を軸にしています。コーゼーションは、事業目標から逆算して必要な組織や人材要件を定義していく考え方で、会社の基盤を固めていくには欠かせません。一方で、本当にブレークスルーを起こすなら、反対の考え方であるエフェクチュエーションも意識したほうが良いのではないかと考えています。「とにかくすごい人達」に集まってもらって、その能力を掛け合わせた時の化学変化を狙う、ということです。
弊社が掲げるバリューの1つに「Celebrate Individuality/違いを強みに。」というものがあり、これには「何かできないことがあったとしても突き抜けた個性を持った人を歓迎したい」という意味も込められています。認知症というこれまで誰も解決できなかった課題に挑むには、それぐらいの突破力を持った人材が集まって、我々の想像を超える力を発揮してもらう必要があります。
だからこそ、あらゆる業界で活躍するトップパフォーマーの方々が、テオリア・テクノロジーズに対して「この事業は自分がやるべきだ」「ここで一緒にやったら面白そうだ」と思えるようにしていきたいですね。

-(Pole&Line 佐藤)偶発的な化学変化が生まれる組織にしたい、ということですよね。その考えからすると、全く違う領域で活躍されていた方でも、活躍できる可能性があるのでしょうか?
岩田様:
必ずしも医療・製薬業界での経験は求めていません。実際テオリア・テクノロジーズの社員の9割くらいは、それ以外の業界から来ています。一方で、どうしても一定の慎重さが求められる領域であることは事実ですから、そこに配慮いただけないと難しいとは思いますね。業界の特性を踏まえつつ、これまでにない考えを持ち込んでイノベーションを起こしていく。そのバランス感覚を持っている方が、理想的です。
坂田様:
もちろん、 MRとして働かれていた方など、医療・製薬業界の出身者もいます。ただ、そうした方は逆にこれまでの考え方をアンラーニングしてもらう必要があって、それが最初に乗り越えるべき課題になるかと思います。

ー(Pole&Line 杉林)私たちエージェントとしても、そうした候補者の方の価値観やコンピテンシーの部分はレジュメだけでは見えにくく、実際にお話しして確かめる必要があると感じています。御社の選考の中では、どのように確認しているのですか?
岩田様:
例えば、職種によっては選考の過程でワークサンプルとして事業の戦略策定とプレゼンテーションをお願いしています。中には、何十ページにもなるプレゼン資料を作ってくださる方もいます。そこまで調べて考えていただくと、表層的な気持ちなのか、本当に熱意があるのかわかるんです。
認知症は実際に体験してみることができないので、少しでも想像して自分ごと化していってモチベーションにしていける人じゃないと、プロダクトを作るのは難しい。だからこそ、認知症やヘルスケアに対する興味関心、誠実さ、実直さのようなものは選考においても大事にしています。
坂田様:
ワークサンプルのような選考って、やっぱり候補者の方にとっても大変ですから「対応せずに辞退する」という選択肢もある。だからこそ、それに対応していただけるかによって、熱意や想いの強さを確認しているという側面もあります。
ただ、そもそも認知症という少し特殊なテーマに取り組んでいる弊社に興味を持って応募いただく時点で、事業内容への関心が薄くて「ただ楽しく働ければいい」「とにかく稼ぎたい」というような価値観を持たれている方は少ないですね。
認知症というテーマだからこそ求められる素質と得られる経験
-(Pole&Line 杉林)エンジニアリング領域においては、特にどのような方を採用していきたいですか?
岩田様:
いろいろなポジションがありますが、1つ挙げるとしたら、やはりデータサイエンティストが重要です。認知症の原因物質について、なぜ溜まるのか、溜まりやすい/にくい人の違いは何か、など解明できていないことが多くあります。医療の現場から得られた膨大なリアルワールドデータを活用して、認知症になった方が生まれてからどう生きてきたかの全てを分析すれば、認知症になりやすい人のモデルを作れたり、どうすれば防げるかわかったり、これまでにない示唆が得られるはずなんです。
もちろん、そのデータを集めるための素晴らしいUXを持ったプロダクトを作れるエンジニアやデザイナー、我々が目指す究極の目的を果たしながらビジネスとしても成り立たせられるPdMなどの人材も必要です。短期で結果を出すだけでなく、中長期での未来を見据えて動ける人に来てほしいと思います。

ー(Pole&Line 佐藤)では、ビジネスやコーポレートの領域において、これから求めていきたいのはどのような人材ですか?
坂田様:
特定のポジションに限った話ではないのですが、「プロデュース能力」が非常に重要だと考えています。認知症の課題は、テオリア・テクノロジーズ1社の力だけでは絶対に解けません。幅広いステークホルダーを巻き込んで、それぞれの強みを持ち寄って、様々な可能性にレバレッジをかけて大きくしていく。そうやってビジネス全体を育てていける方に来てほしいです。
ここには、エーザイが持っている膨大なデータもあるし、トップクラスの研究者も、プロダクトを作れるエンジニアやデザイナーもいる。「この最高の素材を、どうプロデュースしますか?」というのは、ビジネス・コーポレートの領域で活躍してきた方にとって、非常に面白いチャレンジだと思います。
ー(Pole&Line 佐藤)そのような人材が実際に入社されてから活躍できるように、サポートしていることはありますか?
坂田様:
オンボーディングについては、発展途上で試行錯誤しているところです。マルチドメイン・マルチプロダクトの事業で、エーザイグループとの関係もありますから、入社後に改めて詳しくお話しすると「こんなにいろいろやってるんですね」と驚かれることが多いんです。
その情報量を入社直後に詰め込んでパンクしてしまわないよう、段階的に自走していける状態を目指して、ゲーミフィケーションを取り入れたオンボーディングを設計しようとしています。ただ、オンボーディングが完全に整っていない状況でも、実際の立ち上がりは早いですね。Pole&Lineさんのご紹介で入社いただいた経営企画の方も、入社1か月くらいで追加資本の調達を進めてくれていたりして、かなり早くから活躍いただいてますよ。
岩田様:
Pole&Lineさんからは経営企画、データサイエンティスト、セールス責任者の方々をご紹介いただきましたが、みなさん即戦力になってくれていますね。これまでの経験を総動員して、全力で適応しようとしているんだと思います。入社する時点で、それだけモチベーションが高まっていて、マインドセットがしっかりされている方が多い、というのもあるかもしれません。
ー(Pole&Line 佐藤)新入社員の方が、入社後にギャップを感じられたりすることはないですか?
坂田様:
面接の段階で「こんなに困っていることがあるんです」「社内は結構カオスですけど大丈夫ですか?」と正直に話していて、それでも腕まくりして「やりますよ」って言ってくれる方がジョインしてくれているので、入社前後のネガティブなギャップの声は、ほとんど聞きません。
ポジティブなギャップとして、「こんなにいろいろな職種の人と働くのは初めて」という声を聞くことはあります。弊社はプロジェクト制で、全員が上流から下流まで関わりますし、ビジネスサイドからプロダクトに提案・意見するのも、その逆も当たり前です。

ー(Pole&Line 杉林)御社の情報発信を拝見していると、実際に認知症の当事者の方と会って話されている社員の方も多くいらっしゃるようにお見受けします。そうした取り組みも会社として後押しされているのでしょうか?
坂田様:
当事者の方々と実際に時間を過ごす「共同化」を、私たちは非常に重視しています。エーザイとしても、全社員がビジネス時間の1%を当事者の方と過ごす時間として推奨しています。
認知症の方のニーズを想像するのは、本当に難しい。この世界をどう受け止めているのか、実際に会って話してみないとわからないことが多いんです。そうして当事者の方と触れあっていく中で、「過去に家族が認知症になったことがある」というような原体験を持たない社員も、グッと自分ごと化できるようになっていきます。私自身もそうでした。
岩田様:
最初は「新しいプロダクトを開発できる」「自由度が高そう」といった理由でテオリア・テクノロジーズに興味を持って、だんだん認知症への想いが強まっていくケースもあります。ある程度の年齢とキャリアを重ねた方だと、面接で弊社のビジョンなどについて話していくうちに社会貢献性への関心が強まっていき、「もっと自分の子どもに堂々と誇れる仕事がしたいと思った」という理由で入社を決めてくれることもあります。
坂田様:
マズローの欲求5段階説でいう、自己実現欲求を超えた「自己超越欲求」ですよね。テオリア・テクノロジーズは子育てをしている社員も多くて、「子どもに誇れる仕事を」というような気持ちは、ほとんどの社員が抱いているのではないかと思います。こうした魅力も、候補者の方にもっと知られていくと良いですね。
ー(Pole&Line)ありがとうございます。私たちも心から御社の価値を候補者の方に伝えていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。