
デジタルヘルスとは
高齢化に伴う医療費の増大、デジタル技術の発達と社会実装、国の支援等により、テクノロジーを医療、ヘルスケアの領域に活用し、患者さん、医療機関、メーカーや自治体等が抱える課題を解決するソリューションを提供する企業が増えています。
デジタルヘルスやヘルステック、医療IT(ここではデジタルヘルスと統一します)と呼ばれており、特に以下のテーマは大きな成長を遂げています。
- オンライン診療
- 治療用アプリ(DTx(デジタルセラピューティクス))
- PHR、データ活用
- 画像診断、創薬へのAI活用
- バーチャル治験
- 病院、薬局経営のデジタル化
- IoT, ウェアラブルデバイス
実際に、ここ数年はこれらのテーマを軸にビジネスを展開する企業の上場や資金調達、大手製薬会社や医療機器メーカー、業界外の大手企業との協業といったニュースは頻繁に耳にします。
例えば、オンライン診療サービスを展開する企業は様々ありますが、あるオンライン診療サービスは累計の診察回数が30万回を超えたと発表しています。とはいえ、オンライン診療単体でのマネタイズではなく、あくまでも患者さんや医療機関とのタッチポイントとして普及させ、そこから得られるデータやノウハウを用いて、上記のテーマを組合わせたプロダクトやサービスを開発して企業としてマネタイズしていく、という流れがメインストリームになるのではないかと思います。
グローバルでのデジタルヘルス領域の成長
米Silicon Valley Bankが、2019年10月に発表したレポートによると、デジタルヘルスは2015年以来最も急成長している産業の1つです。(1) また、米VCのロックヘルスによると2021年1〜3月期の米国のデジタルヘルススタートアップの資金調達額は67億ドル(約7400億円)に達し、四半期ベースで過去最高を更新しました。(2)
米Grand View Researchは、世界のデジタルヘルス市場の規模が2026年までに6,394億ドル(約70兆円) に成長するとの予想を出しています。(*3)
GAFAも積極的にこの領域に投資しており、その例をあげればキリがありません。Googleのがん解析ソフトを手がけるFlatiron Healthへ投資、Amazonによるオンライン薬局を手がけるPill Packの買収とAmazon Phamacyの立ち上げ、Appleのアップルウォッチの医療機器としての薬事承認等は記憶に新しいところです。

日本のデジタルヘルス領域の成長
みずほ銀行産業調査部のレポートによると、ヘルスケア産業全体 の2018年における市場規模は約55兆円(医療サービス43兆円、医薬品9兆円、医療機器3兆円)です。(*4)
医薬品産業の国内市場規模は、薬価改定の影響を受け2017年以降は減少を続けており、医療機器産業は微増で推移しています。
一方、デジタルヘルス領域は今後ますます市場が拡大する見込みであり、2017年の約9000億円から2025年には1兆2000億円程度に成長すると試算されています。(*同4)
ここ数年、日本のデジタルヘルス企業は数十億、さらには100億円以上の資金を調達する例も増えており、上場するデジタルヘルス企業も出てきています。
コロナ禍でも成長を続ける企業が多く、ある企業の2020年の売上高は対前年の+70%の成長を遂げていました。
大手製薬企業や医療機器メーカーも自社でデジタルチームを設置し、
社内のバリューチェーンのデジタル化に留まらず、デジタルヘルス企業との協働による治療用アプリ、運動支援アプリの開発や治験のデジタル化等、多様な取り組みをしています。
また、保険会社とデジタルヘルス企業の協働も増えてきており、ヘルスケアという概念が、よりWell-beingへ広がっていることが見て取れます。

国としてのデジタルヘルスへの取り組み
2013年から内閣官房は健康・医療戦略室を設置し、日本の健康・医療に関する成長戦略に係る取組みを推進しています。(*5)
この健康・医療戦略は2040年頃までの長期間の戦略を定めるもので、度々更新されており、直近では2021年にも更新されています。
その中には、
- データやICT、AI等を活用したイノベーションの社会実装
- 企業の研究開発から実用化にいたるまでの取り組みへの官民ファンド等による資金支援やその他支援
- 国内外の人材の育成、確保
等についての方針が定められています。一方でより短期的な戦略についても指針がでています。
2021年6月に総理大臣も出席する「成長戦略会議」が開かれ、国としてのこれから1年の方向性の案が示されました。
一例ですが、デジタルヘルス関連では以下の記載があります。(*6)
- データヘルス改革を推進し、個人の健康医療情報の利活用に向けた環境整備等を進める。また、レセプト情報・特定健診等情報データベースの充実や研究利用の際の利便性の向上を図る。
- 治療用アプリ等のプログラム医療機器の開発・実用化を促進し、開発企業の予見可能性の向上に資するため、審査体制全般について不断の見直しを進める。
以上のように、国としての積極的な後押しもあり、医療データや治療用アプリに限らず、患者さんを中心に置いた医療・ヘルスケアのエコシステムとして様々な技術の社会実装が今後も加速することは必至です。
デジタルヘルス領域でのキャリア
コンサルファームや大手企業、ベンチャー企業からの転職先として、医療・ヘルスケアに貢献したい、世の中を良くしたい、規模の大きな課題や解くことの難しい課題に挑戦したい、デジタルヘルス領域に大きな成長性を感じる、といった理由で、経験者、未経験問わずこの領域に入る方が増えています。
また、新規事業も多くあるため、未経験で入社されても、活躍が認められ、ご自身が事業を立ち上げてその事業部長を担う、というキャリアの例もでてきています。
エンジニア側であればCTOへの就任というケースもあります。プロダクトカンパニーとして、社内の優秀なエンジニアの方にCTO等のキャリアパスがあること、優秀なCTOがいることは、エンジニア採用において大きな求心力になり、会社の益々の発展に繋がります。
この領域にはベンチャー企業も多くあります。ベンチャーは働き方が不安という声を耳にすることがありますが、医療や健康を扱う企業であることもあり、社員の働き方、働く環境には力をいれて整備している企業が多いです。例えば、健康診断の結果が実年齢と比較して若い場合はインセンティブを支給、9日間の連続休暇の取得、過重労働防止対策等、社員に健康的に働いてもらえるよう工夫している企業が増えています。
売り手市場と言われる転職市場ですが、以下のような思いをお持ちの方にはぜひデジタルヘルス領域で活躍していただきたいです
- 患者さん中心の医療を実現したい
- バリューベースドな医療を実現したい
- 社会貢献したい
- 大きな産業の変革を成し遂げたい
- 自身や周りの方の体験から、医療に対する課題感をもっている
- 成長性の高い業界でキャリアを築きたい
- 自身がオーナーシップをもって事業を立ち上げたい・推進したい
- 事業には全力で取り組みたいが、ワークライフバランスも確保したい
- エンジニアとしてユーザーの声を聞きながら開発したい
- エビデンスに基づいたプロダクト開発がしたい
歴史を振り返ると、ガレージからスタートしたアップル、ビルの屋上のプレハブ小屋から始まったリクルート等、当時は無名だった企業がいまでは知らない人はいない企業に成長しています。
デジタルヘルス業界は誰もが知る大手企業はまだ多くはありません。しかし、この10年で小さなオフィスや大学の研究室から多くの企業がスタートし、確実に大きくなっています。
優秀な方々にこの領域に興味をもっていただき、日本の医療・ヘルスケア、デジタルヘルスのさらなる発展に微力ながら貢献できればと思っています。
Pole&Lineのデジタルヘルスキャリア支援
- 業界を熟知したコンサルタントが担当
デジタルヘルス業界はもちろん、IT業界、医療・ヘルスケア業界を横断的に熟知したコンサルタントが担当します。一般的なリクルートメントエージェンシーの書類選考通過率は30%ほどですが、弊社は84.9%を誇ります。 - 厳選したポジションのみをご紹介
弊社は一般的なリクルートメントエージェンシーのように大量の求人を右から左に流すスタイルではありません。候補者の希望に沿った、スキル・企業文化のマッチ度が高いと思われるポジションのみを厳選してご提案します。場合によっては、既存の求人ではなく、企業と共にポジションを一から作りにいくことも可能です。 - 外資系企業のご紹介も可能
弊社にはバイリンガルコンサルタントが在中しているため、日系企業だけでなく、外資系企業まで幅広い求人のご提案も可能です。選考のサポートも安心して任せていただけます。
過去の支援実績
- 戦略コンサルファームのライフサイエンスセクターでのマネージャからデジタルヘルス上場企業の新規事業立ち上げマネージャポジションへ転職
- 戦略コンサルファームから医療ビッグデータを軸としたビジネスを展開する企業での新規事業立ち上げマネージャへ転職
- 海外の国際機関でのITインフラ・セキュリティヘッドの経験を活かして、国内デジタルヘルス企業でのセキュリティヘッドへ転職
- 日系大手テック企業のHead of Engineeringから外資系デジタルヘルス企業の日本支店立ち上げにあたってのCTOへ転職
主に製薬、医療機器、製造業等の外資系企業でのIT、デジタル系ポジションの採用支援に携わる。2020年よりPole&Lineに参画し、デジタルヘルス領域でのヘッドハンティング、人材紹介に従事。コンサルファームや事業会社の企画系職種からの転職や、エンジニア系職種の転職を主に支援しています。
出典